DVD Video で使用されているサラウンドに関する情報

■DVD videoで使用される音声フォーマットについて
■ステレオ音声の限界
 通常の音楽ソフトの場合,1chまたは2chの音声が記録されています.前者をモノラル, 後者をステレオと呼びますが,ステレオ音声の場合,一般に聴者の前方に置いたLeft,Right (以下,L:Left,R: Rightと略)の2つのスピーカーから音声を再生することに より,音場を再現します.

音像定位

 人間は左右両側の耳から音を聴いており,その聴こえ方によって周囲の音響環境を認識します. 例えば,上記のように2つのスピーカーから同じ音を再生した際に,L側の音が小さく,R 側の音が大きく聴こえた場合,音源はLスピーカーとRスピーカーの間にあり,R寄りである と認識します.これを音像定位と呼びます.また,このような人間の性質を利用し,任意の位置に 音源を定位させることをレベル差制御と呼びます.

 一方,人間は複数の音源から 同じ音が出た場合,耳に早く到達する音源方向に音像定位するというHass 効果(先行音 効果/ハース効果)があります.この効果を利用し,左右のスピーカーから音を出すタイミングを 制御して定位位置を制御する方法も一般に使用されており,時間差制御と呼びます.

 いかに音像をカチっと定位させず,音の広がりを感じさせるかに対しては,L,Rから 再生させる音の変化の関係を利用します.Lの音と関係を持ちつつしてRの音が変化する場合, つまり,何らかの相関を 持って変化する場合は,音像定位しますが,それぞれの音が低い相関を持って変化する 場合は定位せず,L,Rのスピーカー間に広がって聴こえます.

包囲感

 コンサートホールで演奏を聞く場合,音源から発せられた音は直接耳に入る以外に,壁に 反射し,かつレベルが減衰し,様々な方向から聞こえます.これを残響と呼びますが,この 残響成分は聴者が感じる音の響 きや包囲感に関係していると言われいます.しかし,普通の小さな部屋でスピーカーを用いて音を 聴く場合, 残響時間は短くなるため,コンサートホールのような大きな空間の反響は望むことができません. そのため,包囲感を出すために,予めソース音声に反響成分を記録したり,再生時にコンサート ホールの残響の性質をシミュレートし,反響成分を計算してソース音声と合成したものを 再生させることが行われます.

テクノロジー

 L,Rの2つのスピーカーで,完全に自然な状態で音を聴いたのと同様の 音場を再現することは困難です.しかし,ヘッドフォンを用いた場合は,Dolby研究所が開発した Dolbyヘッドフォンを再生環境として使用することにより,擬似的に再現することが可能 です.

 これは,上記のような方式を併用すること により,立体音響空間を再現します.ヘッドフォンで音楽を聴いたときに特有の,頭の中で音が 鳴って いるかのような不自然な音像定位を防ぐことが可能です.また,後述するDolby surround等の 形式でソース音声が記録されている場合,virtual dolby digital/surroundを使用することにより,マルチスピーカー環境を擬似的に再現する ことが可能です.

 なお,Dolby ヘッドフォンの効果は Dolbyのページ で試聴することが可能です(Flash が必要).また,virtual dolby digital/surround に関しては, 殆どのPC用DVD Player ソフトで対応しているほか,SONYから民生用のヘッドフォンシステム MDR-DS5100が販売されています.([02/10/23] 6.1ch に対応した MDR-DS8000 も販売されています)

 しかし, あくまでも擬似的に再現するため,ステレオ音声再生環境で再生した立体音響は,不自然に 聴こえてしまうことがあります.これを防ぐために,スペース的な問題が無い場合,複数のスピーカー を使用して立体音響空間を再現することが一般に行われています.

■マルチスピーカーを使用したサラウンドに関して
 サラウンドとは,"surround"のことであり,一般に立体音響のことを指します.

 一部ステレオ音声の項の説明が重複しますが,コンサートホールで生演奏を聴く環境と, 自宅でスピーカーを介して音声をきく場合とでは,音の感じ方はかなり異なります.これは, 直接耳に入る音(直接音)が異なることは勿論ですが,反射音と呼ばれる,壁に反射して 様々な方向から耳に入る音の影響が大きいと考えられます.この反射音のうち,直接音か ら50[ms]以内に到達した音は初期反射音と呼ばれ,広がりを感じさせる効果があると言わ れています.そして音は壁面で反射を繰り返すことによって次第に減衰しますが,音圧が 1/1000になるまでの時間が残響時間と呼ばれ,残響感,包囲感に影響を与えると言わ れています.

 このような問題を解決するために,初期のサラウンド環境として,聴者の後ろに2本の スピーカー(Left,RightそれぞれLS:L Surround,RS:R Surround と表記します)を設置し, 後ろからも音を再生するようにするものが現れました.最も単純なアルゴリズムでは,それぞ れのリア側スピーカーからは,フロントスピーカーから再生された音声にディレイをかけ,レベル を低くした音を再生することにより,反響音を再現するといったことが行わ れています.このような単純なアルゴリズムの他に,DSP(Digital Signal Processer)を使用 してリアルタイムで信号処理を行い,各種のコンサートホールの反響特性を再現し,フロント,リア スピーカーから音声の再生を行うことも行われています.なお,機器によってはSL,SRスピーカーから は同一の音を再生することから,左右を区別せず,単に1chの『サラウンドスピーカー』と 呼ぶ場合もあります.

 音楽等を再生する場合には,このようなサラウンド方式が利用可能ですが,殆どの場合, アーチストはサラウンド環境下での再生を考慮していません(ただし,一部音楽ソースでは, 後述するDolby Surround方式で記録されています).しかし,映画の音声を再生する 場合には,作り手が映画館のような立体音響を考慮して製作している場合が多く,『包囲感』 だけではなく,『移動感』等を忠実に再現することが必要となります.

■映画館用音響システム
 昔の映画館では,スクリーン中央にスピーカーを設置し,モノラルで音声を再生していました. そして1940年末に上映されたディズニー映画『ファンタジア』ではじめてステレオ音声が使用され, センタースピーカーの他に左右各1個のスピーカーを設置し,3チャンネル構成で音声が再生さ れるました(ただし,光学録音されたサウンドトラックフィルムには20dbゲイン切り替え用 コントロールトラックも加え,4トラック記録されていた).この形式はその後広く使用されるように なり,業界標準として使用されることになります.

 その後,1953年にワーナーブラザーズの立体映画,『肉の蝋人形館』において,サラウンド チャンネルが初めて使用されました.これは,2台の映写機を回し,フロント3チャンネル音声は 映像と同期して再生される磁気トラックに記録されており,もう1つの映写フィルムに記録され ている光学音声トラックをサラウンド用音声として使用するという方式を使用されていました. 試み的な色合いが強くなっていますが,はじめて LCRS(Left,Center,Right,Surround)サラウンドを映画音響に持ち 込んだ映画といえます.その後,サラウンド用のチャンネルが映像フィルム上に磁気記録される ようになり,フロント3chの他に,サラウンド用音声が1ch記録されるようになりました.

 1970年代では,音声のダビング時に発生するノイズを低減するためにDolby Type A NR (ノイズリダクション)が使用され始め,2chの光学音声トラックをそのまま左右の音声トラックとして ステレオ記録に使用し,かつ映画館で伝統的に使用されていたアカデミー・カーブ と呼ばれる狭帯域フィルターを再生系から外すことが行われ,よりフラットなイコライゼーションが 可能となりました.

 このSVA(Stereo Variable Area)フィルム方式では,1976年にDolby Laboratoriesが 開発したDolby Stereoと呼ばれる,Left,Center,Right,Surround の4ch 音声をマトリックスエンコードし,2chのアナログ音声用トラックに上に分離可能な形で記録(4:2) する方式を使用することにより, 立体音響を構築することが可能になっています.劇場公開用としては『スター誕生』を皮切りに, 『スター・ウォーズ』をはじめとして多くの作品が対応しました.そして劇場用の標準として広く 普及することになります.

 その後,CenterおよびSurroundの音質改善を目的としたType A NRの改良のほか, Dolby Type AからDolby SR(Spectral Recording.音声スペクトルを分析し, メディア容量に収まるように記録する方式.雑音レベルは劇場暗騒音レベルを下回り, 中域ピークレベルが110dBをクリアするほどのダイナミックレンジを獲得) に移行しました. そして音声をデジタル記録したり,各音声チャンネルをディスクリート (完全に分離)して記録する方法が採用されて現在に至ります.なお,デジタル化し,かつ L,R,C,LS,RS,サブウーハー用のチャンネルを分割して記録する(5.1)方式としては, 後述するDolby Digital(AC-3)等が一般的です.最近では,リアスピーカーに Center チャンネルを追加し,6.1 とした Dolby Digital EX (1999年)も存在し, 『スターウォーズ・エピソード1』で使用されました.

 劇場用の音響システムというと殆ど Dolby Lab.の歴史に近いものがありますが,競合する規格も いくつか存在します.代表的なものとしては,Digital Theater Systems, Inc. のdts (dts Digital Sound)が メジャーです.劇場用映画としては1993年の『ジュラシックパーク』で使用されました.dts は Dolby Digital と同様,5.1 で音声が記録されていますが,圧縮率が1/3と低く,高音質なことが特徴です. そのため容量的に大きくなり,劇場に配布する形態としては,Dolby Digital はフィルム上に 光学的に記録されているのに対し,dtsではCD-ROMで配布されています.

 その他,1989年にSONYがコロンビア映画を傘下に収めたことにより手掛けることになった映画音響 システムがあります.1993年に公開された『ラストアクション・ヒーロー』では,SDDS(Sony Dynamic Digital Sound )が採用されました.この方式は,フロントスピーカーとしてL,LC,C,RC,Rの5ch, リアスピーカーとしてLS,RSの2ch,サブウーハー用も含めた8chで音声を再生することが可能です (LCRS構成の4chでも再生可).なお,音声の圧縮形式としては,MD等で使用されているATRAC 方式が使用されています.

 ちなみに,これらメジャーな3種類のフォーマットは,共存することが可能な形で提供されており, 劇場で対応可能な方式で再生することが可能になっています.

現在の劇場用音声フォーマット

ディジタルフォーマット Dolby Digital,Dolby Digital Surrond EX,DTS(Digital Theater Systems),DTS-EX(Digital Theater Systems-EX),SDDS(Sony Dynamic Digital Sound)
アナログフォーマット Dolby Stereo,Dolby Stereo SR,DTS Stereo

劇場のスピーカー配置例
           [SW]
         [L]   [C]   [R]
     =========スクリーン=========
     |                   |
     |                   |
  □ |                   | □
  | |        観客席       | |
  □ |                   | □
  | |                   | |
  □ |                   | □
  | |                   | |
LS | ------------------------- |RS
   +--□---□        □---□--+
■家庭用サラウンドシステム
Dolby Surround

 劇場用の立体音響システムを家庭で再現するために,Dolby Lab. は1981年, Dolby Surroundを発表し,1982年に日本国内で世界最初の民生用デコーダーが発売 されました.基本的には劇場用の"Dolby Stereo"と同じ情報を使用しますが,Dolby Surround では,ステレオ2chトラックにマトリックスエンコードする音声を,Left,Right,Surround の 3ch で再生 するシステムとなっています.

 この方式では,サラウンド成分をLeft,Right音声トラック間の逆位相音声として 記録します.サラウンドスピーカーからの音声は,サラウンドプロセッサによって分離され,各 スピーカーから再生されるわけですが,モノラルやステレオ再生環境との互換性もあり,従来の 環境でも問題なく再生することが可能です(ステレオ環境で聞くと,L,Rスピーカーの両外側に サラウンド成分が広がって聴こえる).そのため,VTR,LD,CDや放送等,広く使用されてい ます.(注:L,Rに同じ音声が逆位相で記録されている場合,通常のステレオで再生すると, お互いの音声を打ち消しあってしまうため,聴き取りにくくなるという問題が発生する)

Dolby Surround Pro Logic

 しかしこの方式では,聴者とフロントスピーカーの位置関係によっては,一般にスクリーン位置に 定位させなければならないセリフ音声が別の位置に定位してしまうことがある他,サラウンド成分 を含んだ音声をそのままフロントスピーカーからも再生してしまうため,音の方向性がぼやけてしま います.そのため,劇場用との互換性を高める意味もあり,1987年に Dolby Surround を 改良したDolby Surround Pro Logic が発表されました.

 Dolby Surround ではL,R,Surround の3chで再生を行っていましたが, Center チャンネルを追加し,4chの音声として再生するシステムです.音声ソースの記録 方式はDolby Surround と同じで互換性を持ちますが,Pro Logic対応のサラウンドプロセッサを 用いて再生した場合,方向性強調回路が働き,積極的に再生スピーカーの制御や 音量の 調整等を行います.例えば L,Rに同位相同レベルの信号が入っていた場合,Centerスピーカー からその音声を音量を上げて再生します.また,L,Rに逆位相の信号が入っていた場合はサラウンド 成分とみなし,サラウンドスピーカーから再生すると同時にフロントスピーカーの音量を下げます.

Dolby Digital

 1992年,データ量を1/12程度にするデジタル圧縮技術を応用したAC-3 (Audio Cording No.3)技術により,Dolby Digital(AC-3とも呼ばれていたが, Dolby Lab. の意向により 1996年に名称をDolby Digitalに 統一)が登場します.Dolby Digital では,L,C,R,LS,RSの5ch音声のほか,LEF(Low Frequency Effect.重低音用サブウーハー)の1chを加え,5.1chを分割してデジタルで記録しています.

 Dolby Surround Pro Logic との違いは,各チャンネルを完全に分割してデジタル記録 していることの他に,サラウンドスピーカーをステレオに分割した点,サブウーハー用のチャン ネルを追加した点,そしてPro Logicではサラウンドスピーカーは100〜7000Hzまでしか再生 出来ず,低音域が再生できなかったのに対し,他のスピーカーと同様に可聴域全体 (20〜20000Hz)の再生 になったことが挙げられます.従来の方式と比較し,より正確な音像定位が可能な他, よりリアルな背景音の再生が可能になったと言えます.

(注:人間は低音域の音像定位が困難なため,低音専用のサブウーハーは1chで充分で, スピーカーの位置に関する制約も厳しくはありません.また,0.1chとカウントされているのは, このチャンネルには低域のみの音声しか含めないからです)

 民生用の機器としては1995年から発売されており,DVDの標準圧縮音声記録フォーマット となったためもあり,現在は広く普及しています.

dts

 劇場用フォーマットと同様,Dolby Digital と競合する規格として,dts が民生 用にも使用されています(民生向けには,dts Digital Surround と呼ばれています).劇場用 と同様,Dolby Digital の1/12に対して1/3と低圧縮率で圧縮していることから,高音質な 音声の再生が可能です.

Dolby Pro Logic II

 総デジタル化時代,5.1ch 時代に逆行している感があるかもしれませんが,Dolby Lab.は 2000年にDolby Pro Logic II方式を発表しました.この方式は,5.1ch方式で 音声が記録されていない古いの映画(80年代以前の作品の殆どはこれに当たる)を,5.1ch で再生するための方式です.

 Pro Logic 方式では,音声のソースがDolby Surround 方式でエンコードされていない 場合,あまり効果がありませんでした.しかし,Pro Logic IIでは,通常のステレオ音声に おいても充分な効果が発揮されると謳われています.また,Pro Logic に対するアドバン テージとしては,サラウンドのチャンネル数が1chから2chになったこと,サラウンドスピーカー の帯域制限が Dolby Digital 同様無くなったこと等が挙げられます.メーカーの説明によると, Dolby Pro Logic と Dolby Digital の中間的なものであるとの位置付けがなされています.

各方式の仕様の概要
名称 Dolby Surround Dolby Pro Logic Dolby Pro Logic II Dolby Digital dts
記録方式 マトリックス マトリックス マトリックス
通常のステレオもOK
AC-3 APT-X100
記録チャンネル数 2ch 2ch 2ch 5.1ch 5.1ch
再生チャンネル数 3ch 4ch 5.1ch 5.1ch 5.1ch
フロントSP 周波数特性 20〜20,000Hz 20〜20,000Hz 20〜20,000Hz 20〜20,000Hz 20〜20,000Hz
サラウンドSP 周波数特性 100〜7000Hz 100〜7000Hz 20〜20,000Hz 20〜20,000Hz 20〜20,000Hz
デジタルデータ量 - - - LD:384kbps
DVD-Video:448kbps
LD:1234kbps
DVD-Video:1536kbps

各方式利用時の音声チャンネル
Dolby Surround Dolby Pro Logic Dolby Pro Logic II,
Dolby Digital
dts
Dolby Digital EX
LF       RF
    ○    
    S
LF   C   RF
    ○    
     S
LF   C LFE RF
    ○    
LS        RS
LF   C LFE RF
     ○    
LS   CS    RS
※ ○:聴者
  LF:Left Front,C: Center,
  RF: Right Front,LS:Left Surround,
  S:Surround(通常はLeft,Rightの2本のスピーカーを使用するが,信号はモノラル)
  RS: Right Surround,LEF:サブウーハー,
  CS:Center Surroun
■サラウンド環境を実現するために必要な機器
 家庭でサラウンド環境(ホームシアターとも呼ばれます)を実現するためには,通常のステレオ システム以外に,いくつかの専用の機器が必要となります.具体的には,コンテンツ再生用プレイヤー (Dolby Digital 等を使用する場合,5.1デジタル出力に対応したDVD PlayerやLD Player. Dolby Surroundや Dolby Pro logicのみで良い場合はVHS Tapeデッキ等でも可),マルチ チャンネルアンプ,デコーダー,スピーカーが必要となります.なお,デコーダーには対応する サラウンド方式が限定されている場合もありますが,"Dolby digital"および"dts"に両対応 しているものを用意すると良いでしょう.また,製品によっては,『ホームシアターセット』や 『5.1システム』という名称で,デコーダ,アンプ,スピーカーがセットで廉価で売られている 場合もあります.

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 個人的には,このようなオールインワンのセットタイプではなく,多くの入出力系統を持つ, マルチチャンネルアンプ,デコーダーが内蔵されたAVアンプを単体で購入し,これを中核に してAVシステムを構築した方が良いと思います.例えば, YAMAHAの製品ラインナップで説明すると,DSP-AX620やDSP-AX520クラス辺り であれば満足の行くものになるのではないかと思います.

 PCでDVDを再生し,サラウンド環境を実現する場合には,使用しているサウンドカードが 5.1出力に対応しており,かつDVD Playerソフトも対応している必要があります.サウンドカード 側で対応している場合にも,カードからの出力に直接4〜5.1chのスピーカー/アンプが接続 可能な場合の他,同軸/光デジタル出力のみに対応している場合があります.後者の場合は, 外付けでデコーダーおよびアンプを用意しなければなりません.

■スピーカー
 家庭で使用する場合,スペースの問題から,スピーカーの設置位置に制約が存在します. しかし,5.1chで記録されている音声の場合,それぞれのチャンネルの音量は適正なスピーカー 配置を前提として記録されているため,スピーカーの配置は注意深く行わなければなりません.

 たとえば,CenterチャンネルがTVと離れた所に設置されている場合,セリフの音像定位が 映像と離れた所になされてしまいます.また,聴者の位置がベストポジションにない場合, 左右や前後のの音量バランスが悪くなり,きちんとした音像定位ができなくなります.

 このようなことを防ぐために,一般に5.1システムにはスピーカーレイアウトに関するマニュアルが 同梱されており,平面,高さに関するガイドラインが解説されています.また,設置したスピーカー 配置の効果を確認するためのサンプルDVDもメーカーより販売されています. 最適な状態でサラウンド環境を楽しむためには,実際の設置作業をを行った後に,これらを 確認し,音量レベルやスピーカー配置を調整しなければなりません.

 その他,スピーカーを選択する際には,その周波数特性に関して注意しなければなりません.

 フロント側のL,Rスピーカーは,忠実な音声の再現をするために,幅広くフラットな周波数特性 を持ったスピーカーが好ましいと言われています.また,Centerスピーカーに関しても,L,Rと同種の スピーカーを使用するのが理想的です.しかし,何らかの事情により低音があまり出ない小型の スピーカーを使用する場合,デコーダー側で設定を行い, L,Rスピーカーに低音を振り分ける操作が必要です.

 サラウンド用のスピーカーは一般に『サラウンドスピーカー用』として売られている小型のもの で良いとされていますが,Dolby Digital等を使用し,サラウンドスピーカーからも低音を出力 する場合には,L,Rスピーカーと同様の周波数特性を持ったものを使用するのが望ましいと 言われています.

■謝辞
 本ページをまとめるにあたって, Dolby Laboratories, Inc.および DTS デジタル・シアター・システムに おいて公開されている各種技術情報を参考にさせて頂きました.

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