組み立て

■このページの趣旨
 基本的に,キットに添付されているマニュアル(英語)はとても分かりやすく書かれているため, このページはあまり存在意義が無いかもしれません.購入を検討している人 の参考になればという意味で,まとめてあります.

 また,基本的な構造は Terminator TU と同じですので,本ページでは, その差分のみを記述しています.より詳しい組み立て方法に関しては, TU の組み立ての解説ページを参照してください.

■組み立て作業の実際
■M/B周り
 ケースを開けると,このようになります.基本的に TU と同じです.
 フロントはこのようになっており,CF 用のスロットが追加になっています.
 M/B のレイアウト.TU では FSB をジャンパで設定するようになって いましたが,K7DDR はジャンパフリーになっており,CPU を挿せば自動 認識されます(BIOS 上で FSBの変更は可能).
 なお,M/B 右上に ケースファン,CPUファン用のコネクタがあり, ここに接続することにより,温度に応じて回転数を制御できるように なります.ただし,CPUファンを接続する際に,ケーブル長が足りなく なる場合があるかも.ちなみに動作検証用に一時使用した CoolerMaster 製の CPU ファンは,ケーブルが届きませんでした.

 ご覧になると分かるとおり,Athlon用ということで,かなり大型の ヒートシンクが利用可能な空間が確保されています.

 M/B は A7SC rev 1.03で,extern モジュール(COM1,GAMEポート)は CGAEX rev 1.02 となっています

 サウスブリッジのSiS962LとSuperI/O IT8705F.ノースブリッジの SiS740は,CPU横のヒートシンクの下です.
 フロントベイ裏の基盤には,このように CFスロット用のパーツも乗っています. なお,USB は 2.0 になっているため,480Mbpsの転送速度があります.

 ファンレス電源とそのスペック


 M/Bの配置図とUSB 関係のジャンパ,CMOSクリアのジャンパ設定(マニュアルより)
■下駄の設定,改造,CPUの取り付け

 基本的に Mobile AthlonXP は,ノートPC用の CPU という位置付けです. そのため,デスクトップ PC 用の M/B で使用する場合は,その倍率やコア 電圧が誤認識されることが多く報告されています.

 K7DDR でも多分に漏れず,Mobile AthlonXP は非対応でした.そのため, そのままソケットに取り付けると,CPUクロック倍率は FSBの6倍(133MHz*6= 800MHz),コア電圧は 1.55[V]と誤認識されてしまいます.

 そこで今回この問題を解決するために使用するのが,玄人志向が以前販売 していた下駄である, PK-OCK7/EV6 です.

 残念ながらこの下駄は現行商品でないため,店頭で新品を入手するのは 困難かもしれません.また,デスクトップ用の AthlonXP であれば,CPU 上の ブリッジをコンダクティブペン等で設定することにより同様のこと(倍率変更, コア電圧変更)が可能ですが,Mobile AthlonXP では,倍率は内部回路で設定 されているようで,変更ができないようです(伝聞).下駄が入手できない場合, M/B 上のパターンを改造するしか手は無さそうです.



 [03/03/06]追記
 MobileAthlonXP の場合,ブリッジは左の写真のようになっており, 表面にパターンが露出していません.しかし,よく見ると,ブリッジを カットしてある部分はレーザーで焼き切られていますが,焼き切られて いない部分は僅かに表面下で配線がなされているようにも見えます.

 例えば L1 ブリッジで見ると,全て焼き切られていないので,クローズ, L3-FIDブリッジは,[0:4]=COOCC (C:Close O:Open)のように見え ます.この状態の倍率設定を調べると,6倍となります.
 また,電圧設定の L11-VID ブリッジを見てみると, [0:4]=CCOOC と,なっていますので,これはデスクトップ用 AthlonXP の設定で見ま すと,1.55[V]の設定になります.

 つまり,オープンにさせる部分はカッター等で慎重に(内部配線まで 傷付けないように)削ってブリッジをカットし,クローズにする部分は コンダクティブペンなどでショートさせることにより,定格設定で認識させる ことが可能ではないかと思います.下駄が入手できない場合にも, M/B を改造しなくても動作しそうです.ただし, 自己責任でお願いします.

 下駄はこのような亀の子構造になっており,下駄自身にCPUファンを装着 可能です.そのため,PowerLeap の昔の下駄のように,特殊な CPU ファンで なくても利用可能です.
 下駄にはこのように,倍率設定用の DIPスイッチが取り付けられています. 茶色い保護テープを剥がし,倍率を設定します.

 なお,SW3 の部分はコア電圧の設定に関する部分ですが,DIPスイッチは 未実装です.


 DIPスイッチの設定は, こちら のページを参照してください.

 Mobile AthlonXP 1800+ の場合,FSB 266MHzで 11.5倍(実クロック 133MHz*11.5=1529.5MHz)のため,SW1 が 1110, SW2 が 11101000(ON:1,OFF:0)と,なります.

 左の1番目の写真は,DIP スイッチのみを設定した状態の写真です.また, コア電圧設定のために改造する部分を赤く示しています.そして.2番目,3番目の 写真は,コア電圧設定変更のための改造も行った下駄です.

 改造する部分ですが,Mobile AthlonXP 1800+ は,デフォルトで1.55Vを 出力するような設定になっています.これは,VID0〜VID4 で説明すると, 00110 と,なります(0:GND).これを定格1.35V ([03/03/06]追記:AXMD1800FVQ3C の定格を改めて 調べて みましたら,定格は 1.4[V]で 35[W] でした.1.35[V] にすると,定格以下 のコア電圧で動作することになります.無事に問題なく動作しているので, 今のところ定格に戻すことは考えていません.1.35[V]で動作しているという ことで,消費電力は 33[W] くらいに落ち,発熱が押さえられています.ただ し,どの CPU でも問題なく動作するかは不明ですので,1.4[V] で稼働させた 方が安心でしょう.そのためには,下記説明の0010101001 として読み替えてください.この場合,パターン改造部分は2箇所から VID2〜VID3 の4カ所に増加します)にするためには, 00101に設定しなければなりませんが,このパターンからも分かる通り, 変更する部分は VID3,VID4 の2カ所のみでOKです.

 そのため,1番目の写真(画像をクリックし,拡大して見ると良いでしょう)に ある右上の赤い四角の部分2カ所(TH1,TH2の横)でパターンカットして CPU ピンと 信号線を切り離す必要があるほか, 赤線で示したように,GND に落とす部分は DIP SW 未実装部分の下側のピンと 導通させます.パターンをカットしただけの場合,信号線は "1" になり, 下側のランドとショート(この部分はGND)させた場合に"0"になるということです. (GNDに落とす場合は,パターンカット不要だと思いますが,一応カットしてます)

 パターンカットはカッターでゴリッとカットするだけで OK です.気を付ける 点は,TH1,TH2と印刷されている部分直下にあるスルーホールよりも,ソケット 側でカットすることです.GND に 落とす配線は,ラッピングワイヤーをハンダ付けしました(2,3番目の写真参照).  下駄の構造に関しては,Fab51 詳しくまとめられ ておりますので, 詳しくはそちらを参照してください.

 なお,加工を誤ると CPU や M/B を破損する 可能性もありますので,自己責任かつ慎重に行ってください.

 サーマルコンポーネント 85EX60X80-XP の内容物一覧
 このように,シリコングリス塗布後に銅板をネジ止めします.
 固定用の金具は通常タイプの他に,テンションの強い物が同梱されています. 今回は通常の物の方を利用しました.
 下駄,CPUの順で取り付け…

(写真はシリコングリスの塗りすぎで汚くなっています.厚く塗りすぎは 逆効果ですので,うっすらと塗る感じで仕上げてください)


 サーマルコンポーネントを取り付けます. なお,金具の位置によっては上側の写真のように PCI カードと干渉 しそうな位置の他,下側の写真のように,メモリギリギリのサイズまで ずらすことが可能です.(写真の方向が分かりにくくてすみません)

 メモリ側にずらすと,組み上げ時にヒートシンク上部が FDD にやや 干渉するようになりますので注意.私は中間的な位置に固定しました.

 なお,写真からも分かるように,CPU 周りにはスペース的にかなりの 余裕があります.Mobile タイプでない CPU を使用する場合,より上位 でかつサイズ的にも大きな 90EX70X80-XP を利用した方が良いかもしれません.

 両者の冷却能力は, こちらの ページで解説されていますが,かなり性能に違いがあるようです.

■動作確認
 完成したら,電源を入れてきちんと動作するか確認しましょう.チェックポイン トは,きちんと起動画面(BIOS画面)が出るか,起動画面でCPUの種類や 動作クロック,メモリ容量,ディスク,CD-ROMは正しく認識されているかを見ます.

 Mobile AthlonXP を使用する場合,動作クロック,コア電圧が正常かどうかも 確認しましょう.なお,Mobile AthlonXP は,BIOS 上では通常の AthlonXP として 認識されます.

※)手順で分からない部分がある場合は,マニュアルを 参照してください.

 比較的よくあるトラブルと対処法は,以下の通りです.

    ○起動時に,『ピーッ,ピーッ』と,ビープ音が鳴る
    メモリ関係のトラブルです.DIMMがきちんとソケットに差し込まれているかを確認します
    ○起動後,しばらくするとハングアップする
    CPUの冷却関係のトラブルの可能性があります.BIOS画面でCPU温度を確認したり,CPUファンの電源がきちんと接続されているかや,CPUファンがきちんと取り付けられているかを確認します.なお,シリコングリスの塗り方如何で熱暴走する場合もあります.
    ○一度起動することを確認した後,再び電源を入れたら起動しなくなった
    対処法は後述
 なお,仮組の際はケースを開けたままでチェックを行うと作業しやすいのですが, この状態ですと CPU,電源の冷却がきちんと行われません.故障にまで発展する 可能性がありますので,注意しましょう.
■画面がブラックアウトのまま正常に起動しない場合の対応
 組み立て時に何度か経験したのですが,正常に起動するのを確認後,電源ボタン をポチっと押して電源を落とした所,起動しなくなるという現象が出ました. 症状としては,以下のような感じです.

  • 画面がブラックアウトしたまま起動しない
  • 電源投入後,ケースFAN, CPU FAN は回転する
  • 起動時の『ピッ』という音が鳴らない
  • メモリを抜いて起動すると,『ピーッピーッ』と,いう警告音が出るときもあれば出ないときもある(後者の方が多い)
  • バックアップ電池を抜いたり,CMOSクリアを行っても症状が改善しない
  • CPUを Duron 等に乗せ換えても症状は改善しない(Mobile AthlonXP は無罪)
  • 何度か OFF/ON を繰り返していたら,AWARD BIOS の,FDD を利用しての BIOS 復旧画面が出た(必ず出るわけではない)

 完全に壊してしまったかと思い,背筋を冷や汗が流れましたが,以下のように 行うことにより,無事復活しました.変な電源の落し方をすると,次回起動 時に CPU にリセットがかからないのかな…と,想像しています.


 M/B 上に実装されているリセットピン(写真中の赤矩形でくくられている 2つのピン)を,ショートさせてリセットします. ショートさせるのは,普通のドライバーで行うと楽でしょう.なお, 誤った部分をショートさせると故障の原因になるので 注意
 マニュアルで言う所の,この部分です.横の Ground とショートさせます.
 度々発生すると面倒なので,リセットボタンを新設しようかな…


『Asus Terminator 活用メモ』 へ戻る