■小物を使ったの静音化のテクニック | ||||||||||||||||||
■吸音材,制振材について | ||||||||||||||||||
音は基本的に空気の振動のことですが,PC の騒音を低減するためには2つのアプ
ローチがあります.一つはファンなどの発する風切り音をはじめとする騒音を
吸収し,外部に逃さないようにする方法.もう一つはドライブ等が発する振動
を押さえ,ケース自身が騒音を発することを押さえる方法です. 静音パーツ売り場には,『吸音』や『制振』といった文句で 数多くのパーツが売られていますが,これらはそれぞれ性格が異なります. 『吸音材』は文字通り発生した音を吸収し,別のエネルギーに変換 (大抵は熱に変換します)するための素材です.安価なものはウレタン材を使用 しており,高価なものはダイポルギー等の特殊素材を使用しています. なお,ダイポルギーとは,CCI社が 開発した素材であり,吸音フォームの性能は, ウレタンフォームと比較して吸音 性能が2.8倍であると言われています.詳しくはメーカーサイトの説明を読んで 頂くとして,最近 PC 用として売られている吸音製品は大抵ダイポルギーを使用 しています. 『制振材』はドライブやファンが発する振動を制し,所謂ケースの ビビリを防ぐための素材です.鉛などの金属製のものの他,樹脂系の素材を使用 したものがあります. 『CD-ROM ドライブを使うと振動してとうるさい』のような場合は,制振材を使う と効果があることが容易に想像できると思います.この他にも,ディスクやファンの 振動がケースを振動させ,あたかもケース自身が太鼓のような状態になり,間接的に 騒音を発する状況になっているときがあります.このような場合にも,ケースに 制振材を使用すると騒音を低減することが可能です. ケースを手で押さえ付けてみた 際に騒音が減る場合は,制振材を使用することによる騒音の低減が期待できます.
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■準備した小物 | ||||||||||||||||||
前回,防音シートや
電源静音フードに関して少し触れました.今回は,それらのパーツを
実際に入手できましたので,その効果の程について検証してみようと思います. 今回調達したパーツは以下の通り.
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■調査 | ||||||||||||||||||
まず,Terminator の騒音の原因を探ります.私の場合は CPU が
ファンレス構成のため,騒音源はディスク,ケースファン,そして(使用時は)
CD/DVD-ROM ドライブになります.
まず振動の影響を調べるために,原始的な方法ですが,ケースを手で
押さえ込んでみました.結果,騒音レベルは変わらず,ケースが振動する
ことによる騒音の増大は(殆ど)発生していないことが分かりました.
そのため,今回は制振材の使用は行いませんでした. 次に,騒音源の特定ですが,ディスクの動作音,そしてケースファンに よるものであることは明白です.ただし,SilentDrive を利用している ディスクに関しては,対策が不要なほどの静粛性が確保されています. また,ベイに直接 接続しているディスクに関しても,動作音はそれほど大きくなく,また, 普段はスピンダウンしていますので,それほど大きな問題にはなりません. そのため,ディスクに対しては追加で騒音対策を行わないことにしました. 残るはケースファンですが,この問題はやや複雑です.ケースファンが 騒音を発する理由として考えられる原因はいくつかありますが,大きく分 けて,次の3つであると考えられるでしょう.
結論を先に書きますと,3番目の問題が一番大きく,1番目,2番目の問題 は殆ど無視できる程小さなものであると言えそうです.ファンを単体で回した際に, 取り付け時とほぼ同じくらいの騒音が発生しましたから….
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■騒音対策の方針 | ||||||||||||||||||
このような調査結果から,次のような対策を行うことにしました.
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■実践 | ||||||||||||||||||
■吸音フィルムを使用する | ||||||||||||||||||
Terminatorのケース内はあまりスペース的な余裕がありませんので,今回は
できるだけ薄くて効果の高そうなシートを使用することにします.今回
用意した中では,ダイポルギー吸音フィルムが 0.2mm と最も薄
く,そこそこ効果も期待できそうです.もう少しスペース的に余裕があれば,
ダイポルギー吸音キットを使用する方が良いのですが,ケース内の
隙間の関係で,貼り付け可能なサイズが制限されてしまいます.少々強引に
貼り付けてみましたが,ケースが膨らんでしまったため,運用を断念しました.
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■電源ファン用サイレンサーを使用する | ||||||||||||||||||
今回はダイポルギー ファンサイレンサー,PF-Silencer 2
という2種類を用意しました.これらは本来電源ファンのサイレンサー
として使用するものですが,動作原理は共に同じです.ファンが排気する空気
を一度板にぶつけ,板の内側に貼り付けてある吸音素材で吸音し,かつ風速を落と
した後に別方向に排気するというものです.例えるならば,単車のマフラー
に近い構造とも言えるでしょう. Terminatorではありませんが,別のデスクトップマシンにこれを取り付けた ところ,絶大な効果を発揮しました.そのため,かなり期待持ちつつトライして みました. ではどのように取り付けるのか…と,いう話になりますが,基本的にATX電 源に取り付けるような作りになってるため,ネジ穴の位置がケースファンに取 り付けるに際して若干問題があります.特にダイポルギーファンサイレンサー の方は,8cmファン用のため,9cmケースファンに取り付けるには小さすぎます. 吸音材を削ったりしながら試したのですが,ファンのかなりの排気面積を塞い でしまうことになってしまうため,使用を断念しました.
注意事項としては,この手のパーツは排気プレッシャーとしても作用します ので,排気圧の低いファンですと,充分に排気されなくなります. すると当然ケース内温度の上昇を招きますので,使用の際には注意が 必要です.
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■結果と対策 | ||||||||||||||||||
■結果 | ||||||||||||||||||
今回いくつかの小物を使用し,静音対策を行ったわけですが,次のよ
うな効果および影響が現れました. 吸音フィルムの効果 殆ど効果らしきものが感じられません.原因としては,薄手の シートを使用したため,充分に吸音できていないということが考えられ ます.また,ダイポルギーは効果を発揮する音の周波数帯域が限られて いますので,現在吸音して欲しい騒音の帯域が外れているということか もしれません. 電源ファン用サイレンサーの効果 Terminatorでの使用に際しては,殆ど効果がありませんでした. この手のパーツは電源ファンの風切り音そのものよりも,排気の際に 巻き起こる風切り音に対して効果があるものです.そのため,今回のよう な環境では,あまり効果が認められなかったのかもしれません.また, ケースファンの発する風切り音の質が比較的低音域ですので,吸音材で 吸収しにくい音質であったのかもしれません. その他,取り付けた副作用として,風量の低下によるCPUおよび電源温度 の上昇が若干認められました.そのため,風量を稼ぐために,吸気口を増 やすことにしました.
注意点としては,このような場所に吸気口を開けると別の部分に空気が 流れるようになり,電源部に空気が通りにくくなる可能性があることです. これを防ぐ一つの手としては,シャーシ側の新設した開口部を紙等で塞いだ り(この場合でもケース外からの吸気口は増えるので,トータルでは流量が 増える),ダクトを作成して電源部に風が流れるようにすること等が考えら れます. 実際に開口部を新設した後温度を測ったところ,CPUおよびM/B温度は, 電源ファン用サイレンサーを取り付ける前のレベルにまで低下しました.
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■対策:さらにあがいてみる | ||||||||||||||||||
色々と小物を使用して対策を行いましたが,正直,効果は殆ど体感出来
ませんでした.これではあまりに悔しいので,ケースファンをケース外付け
にすることを試してみました.
結果ですが,心配していたケース内の温度の上昇こそありませんでしたが, 本題である騒音はあまり変わりませんでした.ファンの回転数を簡単に調整 出来るようになりましたので,良しとしますか…
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■まとめ | ||||||||||||||||||
■まとめと最終形態 | ||||||||||||||||||
最終的に,あまり効果が認められなかった電源ファンサイレンサーは
取り外し,ケースファン外付けで運用することにしました.ただし,PCラック
に設置した際に,ファン排気が直接PCラック背面の鉄板に当たるため,この
部分で騒音が発生してしまう結果に.この問題を解決するために,AODEA 吸音
シートを鉄板の排気が当たる部分に貼り付けました.結果,気休め程度には
騒音が低減されたような感じがします(かなり主観的な観測かつ効果はそれほど
大きくない). まとめとしては,この手のパーツは思ったよりも効果が無いため, 過度な期待は抱かない方が良いといった感じでしょうか.また,電源 ファンサイレンサーに関しては,温度上昇を招く可能性もあるので,その利用 には注意が必要です. ※電源ファンサイレンサーの名誉のために付記して おきますと,使用環境によっては絶大な効果を発揮します. 実際,私の手持ちの Eden(C3 533MHz オンボードM/B)+Silencer 235W電源の環境に取り付けた際には,Terminator 以下の騒音レベルに なりました.
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