K6-2/400MHzを動かす


99-05-23 記  最近のコア(26351以降)のK6-2では,クロック倍率を2倍の設定にすれば,内部的には6倍と して動くようになっている.この設定によってどのような恩恵があるかというと, 高い倍率が設定できないM/Bで,なおかつバスクロックとして100MHzに対応して いない古いSocket7 M/Bでも,高クロックのK6-2が利用可能だということだ.つ まり,400MHzのCPUを,66MHz*6の396MHzで動作させることが可能になるというこ とだ.

 高クロックのCPUを使用するに際して問題になることは,高クロックのCPUは一 般に消費電力も高く,また,BIOSでの対応が必要になる場合がある.まず消費電 力の問題で言うと,M/Bがドライブ出来る以上の消費電力のCPUを使おうとした場 合,最悪の場合M/Bを壊す可能性がある.この点について考察してみると, K6-2/400MHzは旧コアでも22.7W,新コアの場合で16.9Wの消費電力であり,両方と もK6/233MHzの28.3Wの足下にも及ばないので大丈夫そうだ.ただし,K6/233MHz は,M/Bが対応していても,冷却不足で不安定になる場合が多いため,冷却 には十分気を付ける必要がある.

 参考までにIntelのSocket7用CPUの消費電力を並べてみると,次のようになる. Pentiumにしか対応していないM/BでK6-2を使うのはかなりキワドそうだ.

Intel Pentium(P54C)
クロック最大消費電力(W)
758.0
13311.2
16614.5
20015.5
Intel PentiumMMX(P5C)
16613.1
20015.7
23317.0

 次に,BIOSの対応である.先ほどから「旧コア」,「新コア」という呼び方を してきたが,K6-2には同じ名前であっても,2種類のコアが存在し,中身がかな り異なっている.見分ける方法はチップ上のマーキングに頼るしかない.チップ の端に"26351"とマーキングしてあったら,新コアと言われているが,詳しくは AMDのページのドキュメントを参照して欲しい.店頭販売品の切り替えは進んで いるので,いずれは新コアのみになると思われるが,中古品を購入する際には気 を付けて欲しい.

 新コアでは,クロックアップ耐性が高く(300MHz版でも,400MHzで動作するそ うだ.AMDのCPUらしからぬことであるなぁ:-)),処理スピードが従来比20%程高 速化され,倍率設定の仕様が一部変更され,そしてキャッシュアルゴリズムが変 更された.

 新コアではライトアロケート・キャッシュと呼ばれる方式が使われるようになっ たため,(理想的には)BIOSレベルのサポートが必要になる.TX97-XEのBIOSで 言うと,0112-01以降であればこれに対応しているので,予めupdateしておくこ と.updateしなくても使えないことはないが,パフォーマンスがかなり落ちる.
 なお,Windows環境であれば,BIOSレベルでライトアロケート・キャッシュに対 応できない場合に,ソフト的に対応させるソフトがAMDのページから辿っていく と入手する事が出来る.何らかの理由でupdate出来ない場合には,これを入手し ておくこと.

 また,Windows95を使用している場合,K6-2/350MHz以上を使用すると,CPUが 早すぎて起動できない(ソフトループでタイミング調整を行っていることが原因 のようだ)ため,MicrosoftのWebページから,K6用のパッチを入手してインストー ルしておく必要がある.

 さて,K6-2/400を動かすために必要な設定は,コア電圧として2.2V,クロック 倍率としては100MHz*4または66MHz*6である.TX97-XEでは,ベースクロックとし て100MHzを出すことも,クロック倍率として6倍を出すことも不可能である.し かし,冒頭で述べたように,新コアではクロック倍率として2倍を設定すれば6倍 として動くように仕様が変更されているので,そのように設定すれば良い.何も 問題なく動く.

 設定はFSBを66MHzにし,倍率設定をBF0を2-3,BF1を1-2であり,BF2はオープン にするだけである.なお,前回 K6-2/300MHzを動かす際に配線したワイヤーはカットし,オープン状態に戻した.

 なお,新コアではクロックアップ耐性が高いということなので,欲を出して 400MHzを450MHzで動してみた.結果はとても安定して動いている.やり方として は,ベースクロックを75MHzに変更するだけだ.75MHz*6で,450MHzで動作する.
 一般にオーバークロックをする際には,コア電圧を上げてドライブする必要が ある場合が多いのだが,400MHzを450MHzで動かすくらいであれば,2.2Vのままで も安定して動作した.ただこの辺りは個体差が大きいので,どれでも同じように 安定するかは何とも言えないのだが,試してみる価値はあるだろう.


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