Asus TerminatorII AE1 キット内容

[05/07/06]初稿
■購入[05/06/24]
■T2-AE1 に到る道
 2003年に K7DDR を購入して以来,何度か動画エンコードのために強力な CPU パワーを得るべく Pentium4 ベースの TerminatorII の購入を検討しましたが, 結局購入しませんでした.一番大きな理由は IEEE1394 を使用したいけれども AGP*1, PCI*1 というスロット構成のため,PCI カードを1枚しか挿すことが 出来ず,PCI スロットがインターフェイスカードのみで埋められてしまうこと. GbEとのコンボカード等もありますので,1つの PCI スロットを有効利用するこも可能 ですが,TVチューナーカードなどを使用する可能性もあったため,購入を思いとどまっていました. 無論,USB2.0 を使用して特殊な機能は拡張する方向も検討したのですが,いずれ Linux マシンとして利用する場合,この手のデバイスはサポートされていないこと が多いので断念しました.

 結果,K7DDR の CPU をパワーアップして延命していたのですが,K7DDR は FSB 266MHz の CPU 以外は動作保証外であり,Socket A のデスク トップ向け CPU は FSB 333MHz の Barton コアを始めとする CPU にシフトし始 めたため,アップグレードパスは絶たれました.その後モバイル向け と呼ばれる AthlonXP-M 等が店頭で容易に入手可能になり始め,これらは FSB 266MHz であることもあり,私の K7DDR は(おそらく最終的に) AthlonXP-M 2600+ までアップグレード することが出来ました.

 しかしその後,SocketA タイプの CPU が AMD のプライスリストから一部を除い て削除されたとの話があり,今後これ以上は K7DDR で利用可能な高性能&低消費電 力の CPU が出てくる可能性は低くなったと言っても良いと思います.最近の AMD の動きを見ると,メインストリームは Athlon64 系へのユーザの移行を推進すると 共に,SocketA は VIA の C3/EDEN 対抗とも言える Geode NX の組み込みや Thin client に使用できる超低消費電力&ソコソコのパフォーマンス用 CPU のプラットフォーム という方向にシフトすることを考えているようです.

 そして現在使用している AthlonXP-M 2600+ は 日常的な利用を行っている際にはそれ程深刻なパフォーマンス不足を感じることは ありません.しかし,MPEG2キャプチャした映画をまとまった数量再エンコードする(*) ときには1週間程走らせっぱなしになるときがあり,何とかこれを短縮できないか なぁと考えていたのも事実.そんな経緯もあり,定期的に Asus Pundit や Aopen から出るというベアボーン等に食指が動きつつも,さらにグッと来るような 良い製品が発売になるかも…と,思いとどまっていました.

(*) 私は,Linux で TV や映画などをハードウエアMPEG2キャプチャしており, これを定期的に DVD-R にバックアップするということをしています. DivXにエンコードしたもののみを残しても良いのですが, やはり精神衛生上 MPEG2 のものも残したいと思いまして… :-). で,キャプチャ時には極力高いビットレートで撮って いるのですが,録画時間によっては1枚の DVD-R に収まりきらないサイズになる ものもあります.このようなときには Windows 上で TMPGEnc を用いて1枚に収 まるサイズに bitrate を調整して MPEG2 で再エンコードしています.

 そしてここ数年,パーツ単位で購入して組み上げるということをあまりしておらず, また,スペース的な問題もあって Terminator シリーズで良い物が出ないかなぁ とウォッチしていたのですが,Pentium4 ベースの T2 が出て以来,全く新製品の 噂を聞きませんでした.他社からは PentiumM や Athlon64 を利用可能な魅力的な 製品が次々と出ているのにも関わらず….そして Terminator シリーズは終息かと 思い始めた矢先に魅力的な新製品が先日2機種発表になりました.1つは Socket754 を採用した T2-AE1,1つは Socket 939 を採用した (T2-AH1)です.


外箱


外箱のシール


正規代理店経由品は3年保証


ケースと付属品の入った箱


付属品


フロントパネル端子類


ケース正面


ケース背面

■今,何故に Socket 754 か
 現在 Socket754 の位置付けは非常に微妙な所にあり,『x86ベースの 64bit CPU を 世に送り出す』という役割を終え,今は『廉価に AMD製 64bit CPU を使うための プラットフォーム』という方向にシフトしています.実際,ハイパフォーマンス モデルは Socket 939 用としてリリースされるようになり,その中でも注目 されているデュアルコア(1つの CPU ダイの上に2つの CPU コアが乗っている. つまり,1つのCPUパッケージをソケットに挿すと,Pentium4 で採用されて いるHyper-Threading のような『なんちゃってデュアルCPU』ではなく,本物の デュアル CPU として動く.大抵の Socket939 用 M/B であれば,BIOS さえ対応すれば Athlon64 X2 がそのまま動くらしい)は今のところ Socket754 でリリースされるという 話は聞きません.また,Socket754 用 CPU として販売されている デスクトップ向け Athlon64 は Athlon 64 3700+ で打ち止めであり,それ以上のパフォーマンスを持つ CPU は Socket 939 用としてリリースされるというロードマップになっています.いずれ Socket754用 デスクトップ向け CPU は,価格が安いがキャッシュが小さい&機能制限 (64bitコードが実行できない等)のある Sempron に置き換えられていくことになると考えられます.

 では将来性を考えると Socket939 を購入して…と,いう選択肢の方が賢明であるように 考えられます.しかし,T2-AH1 はまだ発表だけであり,発売がいつ頃になるか不明な上, 利用しているチップセットが RADEON XPRESS 200+ULi M1537 であると発表 されたため,何かと物議を醸し出しています.(個人的には,South が ULi M1537 であれば,それ程深刻な問題は無いんではなかろうかと思いますが)

 と,諸々の状況を鑑み,『Socket754 であっても,現在調達できるパーツで ハイパフォーマンスなものを選んでおけば,値頃感もある&数年は問題なく使 えるだろう』との結論に到り,T2-AH1 を待たずに T2-AE1 を購入した次第です. (と,言いつつも,T2-AH1 が発売された時期に Athlon64 X2 がかなり安くなって いれば購入してしまうかもしれませんが :-))

 と,いうことで TerminatorII AE1を Faith通販で購入.19,019円也. 届いたのは2005/7/1.

■Socket 754 の今後のアップグレードパス
 まだ物が届いていない(←ここ伏線 :-))&検証していないので詳しくは書けないのですが, Socket 754 の今後のアップグレードパスとしては,K7DDR で辿ったのと同じ道, 即ち『モバイル向け CPU の利用』という選択肢があります.具体的な製品名では Mobile Athlon64,Mobile Sempron,そして注目の Turion64 等です.

 Socket 754 用のデスクトップ向け Athlon64 (130[nm] プロセスルール)は TDP が 89[W] となっており,低消費電力という意味では, Socket 939 用の Winchester コアと呼ばれる 90[nm]プロセスルールで製造された CPU の TDP が 67[W] になっているのと比べると大きく見劣りがします.無論, Cool'n'Quiet の採用により,低負荷時にはコア電圧を下げ,かつ,クロックも落とす ということが可能ですので,常時高発熱ということではなりませんが….

 では,Socket 754 で『低消費電力』という方向は指向できないかというと,そう ではありません. 前述した Mobile Athlon64 を見てみると,DTR, Transportable, Low Power という 3グレードではそれぞれ TDP が 81.5/62/35[W] となっており,低消費電力を指向 することが可能です.また,2005年1月にブランド名が発表され,その後 3月から 続々と製品 が発表されて注目されいる Turion 64 では,25[W]のタイプと35[W]のタイプ があります.

 特に注目なのは,2005/6/23 に発表された Turion 64 ML-40です.実クロック 2.2[GHz],L2キャッシュ 1[MB]というスペックにもかかわらず,TDP は 35[W]. また,SSE3にも対応していますので,正に Socket 754 の救世主的な存在になると 思います.しかし,モバイル向け CPU をデスクトップ用 M/B で使用する場合は 何かと問題が発生する場合がある(*)ため,『動けば』という条件が付きますが….

参考:
 AMD Athlon. 64 Processor Power and Thermal Data Sheet
 Thermal and Electrical Specification of 8th Generation AMD Processors
 Fab51: AMD Athlon 64 プロセッサの仕様詳細 [最新64bit]

(*) 定格のコア電圧が生成できなかったり,BIOS が誤認識したり,Cool'n'Quiet が搭載されて折らず,PowerNow! であったり etc.物理的形状面でも,モバイル向け はヒートスプレッダが無いため,普通の CPU クーラーを使い回す場合は,PentiumM のように銅板を挟む等の工夫が必要があります.

■組み上げるために使用した物
● ベアボーンキットの内容物

ケース 小型なタイプのMicroATXとほぼ同程度の大きさ.しかし, 特殊な仕様の M/B を使用しているため,奥行きはかなり短い.また, 非常に微妙だが,TerminatorII になってから,従来の Terminator シリーズよりも若干寸法が大きくなっている.
※FDD用の3.5inchベイ,5inchベイには全て蓋が付きます.5inchベイの 方は光学ドライブ専用とも言える構造になっており,イジェクトボタン やトレーの構造によっては利用できないドライブががあるので注意.
電源 Terminatorシリーズでは伝統的にファンレス電源であったが, TerminatorIIになってからは8cmファンが搭載される.端子は一般的なATXで, 電源容量は 200[W].4ピンコネクタは全てL型.
M/B Asus A7SC
K8ST(SiS760GX/SiS965L) を使用し,FSB800 の Socket745ベースの Athlon64, Sempron CPU に対応.
FDD ごく一般的な 2mode 3.5 inch FDD
CD-ROMドライブ セット販売されているタイプと,別売りのタイプがある
マニュアル 英語版のマニュアルが同梱
ドライバーCD-ROM S-ATA,RAID,VGA,Audio,LAN,USB2.0等のドライバおよびユーティリティが入っている
その他 CPUクーラー,電源ケーブル,L型 S-ATA ケーブル,S-ATA 電源変換ケーブル, P-ATA ケーブル(IDEは 1port なのに何故か2本),ネジが同梱.

 従来の Terminator シリーズは『シンプル』と言いますか,『質実剛健』的な デザインでしたが(一部奇抜なカラーリングの物もありましたが :-) ), TerminatorII は『PCしてないデザイン』と言いますか, リビングに置いても違和感の無いものを目指している感があります.個人的には T2-Rのブルーアイスのフロントマスクはやりすぎ感を感じますが,T2-AE1 で採用 された,ガンメタを少し落ち着いた色にしたカラーリングは好感が 持てます.そして安っぽくもなく,かつ,自己主張しすぎない程度の存在感になって います.

 T2-P,T2-R はパスして来ましたので TU, K7DDR との比較ばかりになってしまい ますが,ケースの内部は若干余裕があり,ケーブルの取り回しが楽です.しかし その一方で,ディスクの取り付け方が変っていたり,電源を外さないとCPUに アクセス出来なかったり,バラすために沢山のネジを外すようになっていたり等, メンテナンス性は悪くなっている部分もあります.そして最も大きな違いは,より 大きな容量を持つ電源に変更になっている反面,Terminator シリーズで1つの 売りであった『ファンレス電源』でなくなっています.

 とは言え,拡張性を維持しつつコンパクトさも両立するというTerminator の神髄は TerminatorII シリーズにおいても継承されており,また,発熱に応じてファン回転数を 制御する Q-Fan の搭載により,静音性も確保されています.そういった意味では, 『初めてのPC』として選択する方や,『サブPCだけど中途半端なものは嫌』という 方にもお勧めできる,バランスの取れたベアボーンであると思います.

● ベアボーンキット以外に用意したもの
CPU  Socket 754 の CPU は今後 Sempron に置き換わっていき,次第に Athlon64 は入手 しにくくなることが考えられます.そのため,出来るだけハイパフォーマンスのものを ということで Athlon64 3400+(ADA3400AXBOX) を購入しました.なお,Socket 754 用には, モデルナンバー上はさらに上位の Athlon64 3700+ もあるのですが,両者の違いは L2 キャッシュが 512KB から 1MB に向上していることのみです.今回は動画エンコードが メインのタスクであり,この手のタスクには L2 サイズはあまり影響が無く,実クロックの 差のみが利いてきますので,値段の差も考慮した上で 3400+ にしました.2005/6月に23K円 で購入.

 ちなみに Socket 754用の Athlon64 3400+ には,実クロック/L2サイズ がそれぞれ 2.4GHz/512KB のタイプの他に, 2.2GHz/1MB のタイプもあるので注意.また,低非消費 電力のモバイル向けのCPU も入手し易くなりつつありますので,今後機会があれば,これらも 試してみようかな…と,考えています(←伏線).


Athlon64 3400+


CPUクーラー,マニュアル付き


ADA3400AEP4AX(*)

(*)
Brand:
 AMD Athlon64 Desktop
Model Number:
 3400+
Package:
 754pin Lidded OμPGA
Operating Voltage:
  1.50[V]
Case Temperature:
 70[℃]
L2 Cache Size:
 512[KB]
Part Definition:
 Rev CG

を示す.

CPUクーラー COOLER MASTER KHC-L91-U2(Hyper 48),Scythe 3yKH (SCKBK-1000) を購入しましたが, 高さ制限がキツクて入りませんでした X-<.
 サイズを測ってから購入すべきでした….約8cm くらいであれば入りそうですが,CPU ファンが上部に取り付けられている場合,電源ユニットが 上に被さる関係で,クーラーの高さがギリギリの場合は吸気/排気が困難になります.

 仕方がないので同梱されているクーラーを使用することにしました.

 なお,同梱品の CPU クーラーに使用されているファンは,DELTA製の ボールベアリング ファンの AFB0712VHB であり,サイズは 70*70*15[mm]で定格は 12[V]/0.55[A]です. 回転数は 2000〜5400[rpm]で,風量は 41[CFM],動作電圧は 4〜12.5[V]のようです.
 形状から言って,Asus から販売されている Pentium4 用 CPU クーラーである Crux P4 MM7S の Socket754 版という感じといって良いと思います.以前売られていた Crux P4 XB7N では サーミスターがファン側に付いており,回転数をコントロールするようになっていましたが, 同梱の CPU クーラーは Q-Fan 機能によって M/B 側から供給電圧を変化させることにより, 回転数コントロールを行うようになっています.

 Crux P4 MM7S では『Socket 478 P4 Prescott 3.6G+ サポート』ということになっています. LGA775 になりますが,これは Prescott 2Mの Pentium D660 (3.6GHz) を冷却できる能力を持つと 考えると,当該 CPU の TDP (Thermal Design Power) は 115[W](*)です. 一方 Socket754 で最高のモデルナンバーかつ発熱も最大だと考えられる Athlon64 3700+ の TDP はと言いますと,89[W] (**) と,なっていますので,十分対応可能そうです.

(*)Intel PentiumR 4 Processor 670, 660, 650, 640, and 630 and IntelR PentiumR 4 Processor Extreme Edition Datasheet より
(**)AMD Athlon 64 Processor Power and Thermal Data Sheet より

注)Intel と AMD は TDP の計算方法が違いますので,データシート上の値を 『同じ基準の数値』として単純に比較することは出来ません.AMD の値の方が,最悪の状況下の値を示しています.


同梱されている CPU クーラー


風量を稼ぐ構造になっている


ヒートシンクは銅の芯入り


使用されいるファンは DELTA製 AFB0712VHB


グリス塗布済み


リテールのクーラーと比較.左がリレール品

RAM184Pin の 1GB PC3200 DDR SD-RAM (ノーブランド)2枚

 この手の製品はメモリの相性問題がキツイ場合があります.T2-AE1 でも Qualified vendors list が公開されていますので, 購入前に確認した方が安心でしょう.私の場合,値段のファクターが大きく作用してこれを選択 しました :-).2005/6月に@9k円で購入.相性問題等が出ないかドキドキしましたが, Memtest86を走らせた結果からも特に異常無さそうでしたのでホッと しました…


DDR 400


アップ

HDD  私はこれまで手持ちの HDD の使い回しやケーブルのストックの関係もあり,IDE HDD を購入する際には P-ATA のディスクを選択して購入してきました.しかし,T2-AE1 では S-ATAは2ポートあるのに対し,IDE(P-ATA) は1ポートしか無りません.

 S-ATA の方は RAID 構成も取れるのですが,RAID として使用しない場合でも HDD は S-ATAに接続し,IDE は光学ドライブを接続せよという設計方針であると理解して良いと 思います.そこで今回は日立製の S-ATA 250GB HDD である HDS722525VLSA80 を購入. 故障時用に予備1台も併せて購入.@12,340円也.

 IBM 製の HDD には一時期煮え湯を飲まされたことがありましたが,最近はパフォーマンス, 低発熱等で評判も良いことから,今回は久しぶりに日立製(旧 IBMの製造部門を買収)にしました. 電源コネクタとして S-ATA用の電源コネクタだけでなく,従来型の4ピン電源コネクタも併設されている点は ポイントが高いです.


HDS722525VLSA80


基板側

DVDスーパーマルチドライブ LG GSA-4163BKを購入.フロントは黒にしようかと思いつつ,うっかり白を購入してました :-)

同じドライブは K7DDR でも利用しているのですが,最近よく使用する SW media の DVD-R メディア (8倍速対応で1枚あたり25〜30円くらい)がうまく焼けるため,このドライブにしました.5,685円也. 安くなったものです.

 

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